総予測2026Photo:PIXTA

インバウンド需要と株高などによる国内アッパーミドル層の旺盛な消費意欲に支えられ、2025年は前年に続いて業績好調だった百貨店各社。ところが26年はこれまでの流れとは変わり、不透明感が増している。特集『総予測2026』の本稿では、百貨店業界の26年の見通しを解説する。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)

好業績続いた百貨店業界
一転して視界不良へ

「“発言”で、先が全く読めなくなった」

 高市早苗首相の台湾有事に関する答弁によって、11月中旬以降、百貨店各店では中国人来店客数が急減。その状況を目の当たりにして、大手百貨店幹部はため息交じりにこう吐き捨てる。

 落胆するのも当然だろう。三越伊勢丹ホールディングス、高島屋、大丸や松坂屋を展開するJ.フロント リテイリング、阪急百貨店と阪神百貨店を展開するエイチ・ツー・オー リテイリングの百貨店各社は24年度、そろって過去最高益を更新。その好業績をけん引したのがインバウンド売上高だった。

 中でも中国人観光客は、各社のインバウンド売上高の約半分を占めていた。

日中関係の悪化によって、業績の見通しが立たなくなった百貨店各社。インバウンド需要による業績押し上げ効果が剝げ落ちることになりそうな26年、百貨店各社は業績維持のためにどのような手を打つのか。次ページで解説する。