「必要になれば緩和の手段はまだまだあると思う」。日本銀行の黒田東彦総裁は、2018年12月の金融政策決定会合後の会見でそう述べた。
しかし、副作用を効果が上回る強力な追加緩和策は実際のところもう存在しない。インフレ率は目標(2%)に届かない状況が続いているのに、日銀はこの2年以上、追加緩和策を発動できていないという事実がそれを物語っている。多くの日銀政策委員は世界経済の失速が早々にやって来ないことを年初に祈ったことだろう。
19年の世界経済について、米国と中国を中心に概観してみよう。
米国のホリデーシーズンの消費は全般に好調だった。雇用や賃金の状況が今のところは良いためである。しかし、米国の設備投資はシェールガス・オイル関連を除くと昨年から弱めだ。貿易戦争が経営者たちに不安を抱かせている面もあるようだ。しかも、19年後半から減税効果は剥落してくる。