自分の体が思うように動かなくなり、体の衰えを実感するという中高年も多いだろう。その状態を放置し続けると、いずれ自らの足で歩くこともままならない老後を迎える可能性も…。そうした老後のリスクを示すキーワード「ロコモティブシンドローム」が注目を集めているという。(清談社 真島加代)
寝たきり生活のきっかけは
運動器の衰えが最多
自分の足で行きたい場所に行く――、多くの人がこの事実を当然のこととして生活をしている。しかし、50代を迎えたあたりから「膝が痛い」「尻もちをついただけで骨折をしてしまった」などの理由から、少しずつ動くことがおっくうになっていくという。
「こうした不調には骨や関節、筋肉、神経を指す器官『運動器』が深く関わっています。加齢をはじめとする、さまざまな要因によって運動器に障害を抱え、立つ、歩くという動作ができなくなった状態を『ロコモティブシンドローム(以下、ロコモ)』と呼びます」
そう話すのは「ロコモチャレンジ! 推進協議会」推進委員長を務める、NTT東日本関東病院整形外科部長の大江隆史医師。大江医師は、ロコモの状態が進行すると「要支援」「要介護」になり、最終的には”寝たきり”になってしまう、と話す。
「多くの人は、高齢者が寝たきりになる理由として、脳血管の障害や認知症などをイメージすると思います。しかし『平成28年厚生労働省国民生活基礎調査』では、運動器の障害をきっかけにして、要支援、要介護になったという高齢者が最も多いという結果が出ました。つまり、高齢者は徐々に動けなくなり、最後には寝たきりになってしまうという人が最も多いということです」