黒田監督「3つの賭け」が奏功
決勝では流経大柏を逆転、優勝へ

 初戦だった草津東(滋賀)との2回戦を6-0で、大津(熊本)との3回戦を3-0で撃破した青森山田は、矢板中央(栃木)との準々決勝で初めて先制を許す。苦境に陥りかけた展開からDF二階堂正哉の同点&逆転ゴールを導いたのは、ともに澤田が投じたロングスローだった。

 尚志(福島)との準決勝では、相手の2年生エース染野唯月(いつき)にハットトリックを達成されながらも後半終了間際に執念で追いつき、突入したPK戦で劇的な勝利をもぎ取った。ヒーローになったのは尚志の4人目のPKを弾き返し、雄叫びをとどろかせたキャプテンの飯田だった。

 開催が成人の日に固定された第81回大会以降では最多となる、5万4194人の大観衆が埼玉スタジアムに詰めかけた14日の決勝でも、流通経済大学柏(千葉)に先制された。それでも試合を重ねる度にたくましさを増した青森山田は動じない。怒涛の連続ゴールを決めて、試合をひっくり返したのは檀崎だった。

 しかも、後半18分に決まった逆転弾をアシストしたのはバスケス。右サイドで鋭い切り返しを2度も見舞い、2人のマーカーを置き去りにし、中へ切れ込んでから右足で放ったクロスが勝利を呼び込んだ。

「ちょっとやんちゃで、目立ちたがり屋も多い学年でした。ただ、個性が豊かで、人間的にもパワーがあったので、いい方へベクトルが向けばかなりの結束力とパワーを持って戦えるチームになると思っていた。最後には日本一の素晴らしいチームに成長してくれた選手たちを褒めてあげたい」

 大会直前のキャプテン交代。澤田の抜擢に伴うシステムの変更。そして、将来は母国チリ代表入りを夢見るバスケスに課したスパルタ教育。勇気と覚悟、そして我慢を必要とする、まさに3つの「賭け」が鮮やかに奏功しての冬の王者戴冠を、黒田監督は目を細めながら教え子たちへの感謝に帰結させていた。