この結果、18年11月と12月の2ヵ月に渡って売上高が急減した。1973年に日本電産を創業した永守会長にとっても「月単位でこれだけガタンガタンと落ちたのは初めて」と言う。

 未曽有の体験を踏まえ、2019年の業績予想は、より落ち込みの大きかった12月の売上高の水準をベースに最悪の状況を想定して1~3月の業績予想を組み立て直した。これにより、今期の純利益は6年ぶりの減益になる見通しだ。

 まさに産業界にとって、「日本電産ショック」とも呼ぶべき事態だろう。

日本企業の下期業績に暗雲が立ち込める

 ことは日本電産に限った話に終わらない。中国企業において、完成品の生産停止や生産量の絞り込みで、部品の発注を絞る動きが表面化する恐れが出ている。中国に部品を供給する日本メーカーに広く影響することは避けられず、国内企業の下期業績に暗雲が立ち込める。

 中国政府が発表した7~9月期の国内総生産(GDP)は前年比6.6%の増加で、実質成長率は2期連続の減速となった。一部の部品メーカーからは「こうした政府発表の数字以上に、製造現場において中国企業からの受注動向はずっと落ち込みが激しい」との声も漏れる。

 この局面で永守会長の脳裏には、2008年秋のリーマンショックが思い浮かんでいたという。「当時は売上高が半分になったが、(11 ~12月の)売り上げは3割落ちたので、さらに落ち込むとすれば、リーマンの時と同じだと見る必要がある」。

 リーマンショックで多くの企業が資金繰りに窮した時のように、今の段階でも、米中貿易摩擦の影響で、中国の一部で資金繰りに苦しむ企業も出てきたようだ。

 日本電産は現状、新分野に対する増強投資は計画通りに進める予定だ。しかし、本当に「リーマン級の危機」に直面するなら計画を見直さざるを得ない。永守会長に「尋常ではない」と言わしめた「日本電産ショック」は、長引く米中貿易戦争がもたらす危機の序章に過ぎない。

(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 村井令二)