大手ビール4社の2019年の事業方針が出そろった。各社に共通するのは、ビールより安い新ジャンル商品への注力だ。10月の消費増税への対応策だが、ビールと遜色がない味わいを追求する新ジャンルの強化は、ビール類市場全体の縮小を加速させかねないリスクをはらむ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 重石岳史、鈴木洋子)
「新ジャンルでもいずれナンバーワンを取る」――。アサヒビールの平野伸一社長は昨年11月の本誌インタビューで、新ジャンルにおける“奪首”を誓った。
新ジャンルとは、麦芽以外の原料を使用したり、発泡酒に別のアルコール飲料を混ぜたりしたもので、ビールよりも税率が低く低価格のため、市場が広がっている。
ビール、発泡酒、新ジャンルというビール類の3分野において、アサヒは旗艦ブランドの「スーパードライ」でビール市場の首位を堅持する。だが新ジャンルの「クリアアサヒ」は、キリンビールの「のどごし」、サントリービールの「金麦」の後塵を拝す。
奪首宣言を有言実行すべく、アサヒが年初の事業方針説明会で発表した新ジャンルの新商品が、「アサヒ極上〈キレ味〉」だ。