貴景勝、御嶽海、逸ノ城…
個性溢れる若手が台頭してきた

 そして、その上位陣とは対照的に元気な相撲を見せている若手が台頭してきた。関脇貴景勝(22)や小結御嶽海(26)、前頭筆頭の逸ノ城(25)は以前から注目されているが、他にも前頭の北勝富士(26)、阿武咲(22)、朝乃山(24)、阿炎(24)、明生(23)、矢後(24)、豊山(25)らが実力をつけてきた。

 これらの若手力士に共通するのは、自分の持ち味を生かした相撲を思いきりよく取ることだ。貴景勝、御嶽海、北勝富士、阿武咲、阿炎、豊山はスピードあふれる突き押し、逸ノ城は193センチ、227キロの巨体を生かした寄り、朝乃山、明生、矢後は懐が深く、四つ相撲で良さを見せる。

 なかでも陰りの見える上位陣にとって脅威の存在になっているのが貴景勝と御嶽海だろう。貴景勝は身長175センチと、今の力士の中では小柄だが、逆にそれを生かした低い突き押しが効果を発揮している。御嶽海も身長179センチと大きな方ではないが、170キロの体重を乗せた突き押しは迫力満点。今場所は初日に稀勢の里、2日目に鶴竜と2横綱を破り、3日目には大関豪栄道にも勝った。大関に最も近い関取といえるだろう。5日目の玉鷲戦で左ヒザを痛め、休場することになったが、この故障は上位陣が抱えているような持病に近いものではなく、後半の再出場もありえるという。これも若さがあるからだ。

 この貴景勝と御嶽海は大関に昇進する可能性が高い。巨体を生かす術を身につけてきた逸ノ城も大関候補だが、そうなれば次の目標は綱取り。稀勢の里が抱えた日本出身横綱という責任感など気にしなくてもいい時代がきそうなのだ。

 好漢・稀勢の里の相撲が見られなくなったのは寂しい。だが、それに代わって今後の相撲界には勢いのある若手の出世競争という見どころがある。

(スポーツライター 相沢光一)