そこで今回の面会のために、自社および提供している財・サービスの資料を用意した。だが、これで商談が成約できるとはとても思えない。何しろ、相手が解決したい課題が何ひとつわからないのだから。

 さて、あなたはどうするだろうか?

 おそらくあなたは、まずは相手の元を訪問し、名刺交換をして、挨拶を済ませ、通された席に着く。

 そしておもむろに、持参した自社および財・サービスの説明資料を早速一通り説明するだろう。

 その後、「御社は何にお困りなのでしょうか?」と質問し、相手が何を解決したくて、そのために相手は自分に何を期待し、そこに対して自分が何を提供できるかを考えることだろう。

手ぶらで1時間、
相手と話をしてきてほしい

 このプロセスは決して間違いではない。王道のアプローチだ。及第点ではある。だがここで、私はあなたにあえてこういう宿題を課したい。

「手ぶらで1時間、相手と話をしてきてほしい」と。

 持参した資料を使わず、相手と1時間、ただの雑談をするという指示だ。

 さて、あなたならどうするだろう?

 このワークは、一見「雑談力が高ければ、初めて会う相手とでも1時間は会話ができる」と思われるかもしれないが、実は奥が深い上に、ことはそう簡単に運ばない。

 まず、あなたは相手を何も知らない。話のきっかけは、アポイントメントを取れた時に知り得た状況の情報だけだ。

 また、相手の興味関心や趣味もわからないので、話を弾ませることも難しい。

 これが合コンやバー、キャバクラなど、相手がこちらの話を聞く気になっているなら雑談も可能だが、相手があなたの話をどこまで聞いてくれるのかもわからない。