法曹界も例外ではなかった。最近でも、朴政権下で韓国大法院(最高裁)院長を務めた元長官が、徴用工判決に対する判断を先送りするなど「司法取引に関与した」という容疑で検察に召喚される身になった。

 当時、この裁判に介入したとされる法院行政処の次長は拘束済みだ。

 文大統領は弁護士時代には徴用工問題の弁護人を務め、1965年に日韓両国の間で交わした請求権協定については、「個人請求権」が消滅されていないという立場を取ってきた。

 大統領就任後も同じ趣旨の言葉を何度となく口にした。文氏は、朴正熙政権下に交わされた日韓基本条約そのものに不満を持っているのだ。

 つまり、文氏は日韓の間で合意したものでも、積もりに積もった「弊害」として、「積弊」を清算するつもりでいるようだ。

 昨年暮れの韓国大法院の徴用工裁判も、外交部が慰安婦問題の結論を見直したのも、そのような文氏の考えをくんでの判断だろう。

「反日」で支持層を結集
保守勢力を抑え込む手段にも

 日本に対し強気の外交を展開する3つ目の理由は、そのことが支持層を結集し、文政権に批判的な保守系までを抱き込む手段になり得るからだ。

 今年は韓国では「3・1独立運動」の100周年を迎える年だ。

 1919年3月1日は、朝鮮半島では日本の植民地統治に反対する全国規模のデモが起こった日だ。文政権は今年の3月1日の記念日は北朝鮮と共同で祝うことにし、大々的に準備を進めている。

 韓国の元高官はこう話す。「すでに100人以上の公務員が準備事業にとりかかっており、各種市民団体の代表ら数千人が大々的な行事を準備している。今年、韓国は反日で明け暮れるだろう」。

 支持率が低下傾向にある文政権にとって、徴用工問題、慰安婦問題、レーダー照射問題などで日韓がギクシャクするのは、政権運営に障害になるどころか、弾みがつくと計算しているのかもしれない。

「反日」は、文氏を支持層の核心をなす理念なので日本と妥協しない姿勢を見せれば支持者は喜ぶ。また、保守勢力を抑え込む手段にもなる。