廉頗将軍は説く『自分たちはもはや穢れることのない伝説となったが、それを若い世代が超えるには「中華統一」という新たな伝説が必要だ』と。その場にいる登場人物たちは、驚愕の表情を浮かべる。主人公はハッとして、これまでとは全く違うレイアーにある、そのゴールに向かうようになるのである。目指すのは、従来型の武勇伝ではない。

変えられるものを見極める賢さと
それを変える勇気が必要

 残業、ひいては働き方、人生。主人公同様、私もこれまでと違う景色を見たいと思った。働き方ならPL脳に変わる「ファイナンス思考」、人生なら損得ではなく「アート」だろうか、なんて考えた。ただ感覚的に働き方改革に抵抗する人にだけはなりたくないと思った。今こそ、変えられるものを見極める賢さと、それを変える勇気が必要なのだ。

 一昔前、サラリーマンのバイブルは『徳川家康』だった。これからの時代、私はこの『キングダム』をお薦めしたい。同時にこの『残業学』を併読すれば、さらに良い。なぜならば本書は、従来の「成果」や「成長」「会社」などの定義をアンインストールして、アップデートすることを推奨する本だからだ。本書を読んで、武勇伝の時代を塗り替えたいものである。(※図表提供:光文社

(HONZ 吉村博光)