アメリカの政治は、トランプ大統領の登場によってカオス化しつつある。
「自国第一」の保護貿易政策をはじめ、最近でも、不法移民に対する「国境の壁」建設予算を巡る議会との対立から政府機関の一部閉鎖が長期化。1月25日、2月中旬までの暫定予算を成立させ、閉鎖を解除することで議会と合意したものの、壁建設の費用を巡っては協議が続く。
イギリスも、国民投票でEU離脱が決まったものの、その具体的な出口が見えずに混乱している。
フランスでは、生活困窮や格差拡大に不満を持つ都市郊外の住民らによる「黄色いベスト運動」が巻き起こり、マクロン政権を窮地に陥れている。その他のヨーロッパ諸国でも、「極右」と呼ばれる政党が勢いを増している。
こうした一連の混乱をもたらしている新興の政治勢力について、いわゆるエリートたち、とりわけリベラル派の政治家や知識人は、一くくりに「ポピュリズム」と呼んで眉をひそめている。
だが混乱の一端は、リベラル派自身が犯した「罪」と関係がある。