たとえば、法務部に配属されていた私の場合は、次のような具合だった。
先輩「なぜ、うまく説明できなかったと思う?」
私「事前の勉強が足りなかったのだと思います」
先輩「なぜ、足りなかったんだ?」
私「その週の仕事が集中して、勉強する時間が取れなかったのです」
先輩「弁護士との面談がいつ頃になるかは1ヵ月前くらいからわかっていたはずだ。自分の仕事の日程調整、時間調整を早いうちからやっておき、訴訟の中身や弁護士への説明に向けた勉強時間をあらかじめ確保していないことが一因であるのは確かだな」
私「はい、そう思っています。すみません」
先輩「では、なぜ早いうちからの調整ができなかったのかな……」
先輩社員は、キツイことを言いながら一緒に考えてくれている。「自分で考えてこい」と宿題を与えられる場合は、教えるほうも一所懸命に考えてくる。
このようにトヨタの職場を振り返ると、トヨタの人づくりは、実に丁寧に行われていると、改めて感じる。