トヨタ生産方式を形だけ導入しようとしても成功しない。うまく機能させるには、カイゼン哲学を共有し、不断の努力を続けなければならない。そして、その背景には、トヨタに脈々と受け継がれる労使間、社員間の徹底した対話文化がある。トヨタ労組の書記長や自動車総連の会長などの要職を長年務め、『トヨタの話し合い』を上梓した加藤裕治弁護士に、トヨタの現場の情熱や創意工夫の秘密を聞く。

一人ひとりの顔が見える
話し合いが大事

 私は経験上、会議や話し合いは10人前後で行うのがベストだと思っている。全員が結論に納得するためにも、会議や話し合いを実のあるものにするためにも、10人前後をベーシックな単位にするのが最も効果的になる。

 会議を進めていくには進行役のノウハウがある程度必要になるが、進め方を学び、実地に訓練できるのも10人程度が最適だ。

 10人程度だと、一人ひとりの顔が見えるし、表情に浮かぶ本音も窺い知ることができる。それほど広い部屋は必要ないので、声がよく聞こえないということもない

 10人単位の会議や話し合いにこうした効果があることは、もちろんトヨタ労組で実証してきたことである。

 トヨタの職場を担当ごとにグループ分けしてみると、おおよそ10人前後が一つの単位になる。職場委員はこの最少単位の職場で働く社員から意見を聞き、労組としての方向性についてメンバー全員の理解と納得を得るのである。