会社の組織が指示待ち人間ばかりで構成されていたら、業績拡大は望めない。現状維持も難しいと思う。
トヨタがそういう組織だったら、今日のような発展は絶対になかった。
もちろん、上司が指示することを否定的に捉えているわけではない。
ここで述べたいのは、部下の立場であれば、上司の指示を丸ごと鵜呑みにするのではなく、少しでも疑問に思うところがあれば、臆せず堂々と上司にぶつけてほしいということだ。
一方、上司のほうは、部下からの疑問や確認をうるさがらず、丁寧に対応することが大事であろう。
「時間がない」「そのくらいのこと、自分で考えろ」といったコミュニケーション拒絶の日々を送っていては、会社は強くならないし、業績が向上することはありえない。
トヨタが世界一になりえたこともさることながら、毎年のように兆単位の営業利益を発表している背景には、上司と部下が遠慮なく議論するコミュニケーション風土が築かれているからにほかならない。
人づくりに熱い
トヨタの風土
トヨタの社内では「人づくり」という言葉がよく使われているが、トヨタは伝統的に人づくりに熱心であり、後輩の指導を厭いとわない風土ができている。トヨタという会社が持つ一つの文化といってもいいだろう。
トヨタの人づくり文化で特徴的なのは、問題解決手法などカイゼンの考え方や方法の教え方だけではない。もう一つ、失敗に対する先輩や職場の上司の対応がある。
後輩や部下が失敗した場合に、先輩社員や上司が共通して行う指導の基本は「一緒に考える」ことである。
もちろん、本人が自分自身で考えることを大事にしているので、本人が考えやすいような環境をつくるとか、ヒントを与えるといったことを通して一緒に考えるのだ。