「賃金上昇」は忖度で?
“アベノミクス偽装”が焦点に

「真相」の解明は28日から始まった通常国会に舞台を移した。

 問題は、当然ながら政権・与党に飛び火している。まず明らかにされなければならないのが、15年間に及ぶ不正の間の大臣たちの関与だ。

 厚労省が総務省に「全数調査している」とウソの書類を送った16年当時に大臣だった塩崎恭久・衆院議員は、「報告は一切上がってこなかった」と自身の関与を否定。

 監督責任については謝罪したものの、「事務的なことまで全部を大臣が見ることをみんなは期待しているのか」と、半ば開き直っている様子だ。(朝日新聞1月17日付朝刊)

 昨年1月にひそかに始まったデータの「復元」の際に大臣だった加藤勝信自民党総務会長も「当時、報告を受けていたわけではない」と、都内の講演の場で述べ、関与を否定している。

 ちなみに加藤氏は、統計に詳しく計算式まで細かく把握していることで、省内では有名だった。

 野党側がとりわけ関心を抱くのが、「データ補正」が、なぜ昨年1月に始まったのか、だ。

 安倍首相が「働き方改革国会」と名付けた通常国会が始まった時期に、ぴたりと重なっているからだ。

 この国会で安倍政権は、裁量労働制の対象を拡大する法案を成立させようとしていた。しかし、野党は「裁量労働制は過労死を助長する」と対象拡大に猛反対。

 与野党が対立する中で出てきたのが、「裁量労働制で働く人の労働時間が、一般の労働者よりも短いというデータがある」との安倍首相の答弁だった。

 裁量労働制の労働時間が短いことは、過労死助長という野党の批判を抑え込むのに、都合のいいデータだ。

 しかし、このデータは、厚労省の官僚によって不適切な算出の仕方で作られ、働く人の実態を示す数字ではなかった。

 このことが発覚して国会は紛糾、安倍首相は裁量労働制の対象拡大を撤回せざるを得なかった。

 そんな頃、厚労省は「毎勤」のデータ復元をひそかに始めている。その数字は「賃金の大幅上昇」を示す結果となった。

 2013年から日銀の異次元緩和策を柱に始まったアベノミクスだが、為替市場の潮目が直前から変わっていたこともあって、当初は円安・株高などで好況を演出したが、その後は“中だるみ”に陥った。