この程度のことは、これだけ組織のガバナンスの重要性が叫ばれる今の時代では、常識のレベルのはずです。それにもかかわらず、そうした常識を無視して幹部も同席し、事務方主導のヒアリングを行なったことは、厚労省の幹部は真相を究明して不祥事を根絶し、自らの行政をより良いものにすることよりも、厚労省の組織防衛と今までのやり方の維持の方を優先したとしか考えられません。そして、それはおかしいと幹部に指摘する職員もいなかったのです。

 それが示しているのは、厚労省という組織は統計担当部署に限定せず、幹部を筆頭に組織全体が腐っているということです。だからこそ、これまでも厚労省のさまざまな行政分野で不祥事が起きてきたのではないでしょうか。厚労省という組織の体質を何とかして変えないと、次は統計担当部署以外のところでまた別の不祥事が起きる可能性が高いはずです。

統計不正問題を真に解決するため
2つの問題にどう対応すべきか

 以上のように考えると、今回の統計不正問題を本当の意味で解決しようと思ったら、これら2つの問題にしっかりと対処する必要があるはずです。それでは具体的に、どのような対応が必要でしょうか。

 第一の統計担当部署の問題については、理想的には、政策立案ばかりが優先される各省庁から統計に関する機能を分離して、各省庁の統計業務を省庁横断的に1つの組織にまとめることが必要なはずです。そこで、民間の統計専門家の登用、職員の専門性の強化、統計業務にかかるガバナンスの強化などを行うのです。

 ただ、現実には省庁再編は難しいので、政府は2004年、内閣府に経済社会統計整備推進委員会を設置(その後、統計委員会に改組)し、それが政府全体の統計行政の司令塔の役割を果たすことを目指しました。しかし、省庁ごとに縦割りとなっている統計担当部署をそのままにしている限り、この委員会が十分に機能するはずがありません。