コーランには本当は何が書かれていたか?
『コーランには本当は何が書かれていたか?』
カーラ・パワー著
(文藝春秋/2015年)

 今、イスラム教が注目を集めている。人々は、聖典の「コーラン」を読まずに、既存のイスラム観が投影された報道などにより、イスラム世界を判断する。そんな中で、本書は、ユダヤ系米国人の女性ジャーナリストが、かつての同僚である英オックスフォード大学のインド人イスラム学者と1年間、2人でコーランを会読・輪講した道のりを追体験できるノンフィクションだ。

 著者は、聖典から女性の権利、イスラム教と性の関係なども探求する。圧巻は、ビン・ラディンもテロの有効性に引用した「剣の章句」だ。啓示された時代を理解すれば、「無条件に異教徒を殺害してよいわけではない」と解釈すべきで、過激派は都合の良い解釈をするという。真の啓示に戻れば平和が来るか。

(元アラビア石油取締役、オイル・アナリスト 庄司太郎)