「ふるさと納税」の抜本的見直し
元総務相の説明は破綻している

 一方、「ふるさと納税」は、制度がスタートした2008年には約81億円だった自治体への寄付が、2017年には約3653億円に規模が急拡大している。一見、制度の導入は成功しているように思える。

 しかし、野田聖子氏(現・衆院予算委員長)が総務相だった時、「ふるさと納税」の抜本的な見直しを検討すると表明した。その理由は主に、「より多くの寄付金を集めようと、過度な返礼品を出す自治体がある」「他の自治体が公平感を訴えている」「税金が流出する側の自治体から批判が出ている」というものであった。だが、野田総務相の説明は、全く説得力がない。

 そもそも「ふるさと納税」は、寄付の獲得を巡る「自治体間競争」を促す制度のはずだ。自治体が多くの寄付金を集めるために知恵を絞って競争することを奨励するもので、競争に敗れた自治体の不満を受け入れていては、制度の根幹が崩れてしまう。

 また、過度の返礼品を問題視しているが、自治体が高額の返礼品を出そうと、「寄付」自体が、元々入ってくるはずのない収入なのだから、自治体の自己責任だろう。重要な事業を行うためにどれだけの収入が必要で、それにはどれだけの返礼品を用意すればいいかは、自治体が考えればいいことだ。

 泉佐野市のように、返礼品がその地方の特産品と関係がないものであることが批判の対象になるが、それを認めない方が、自治体間の不公平感を高めることになる。特産品がない大多数の自治体は、特産品のある少数の自治体が収入を増やすのを、指をくわえて見ていろとでもいうのだろうか。

 泉佐野市は、特産品のない自治体の典型例だ。かつて、関西空港への投資がたたって財政破綻寸前まで追い込まれていた。だが、「ふるさと納税」制度を利用し、寄付額の50%相当を返礼品にあてた。そして、豪華な黒毛和牛山盛り、タオルセット等の、カタログを作って好きなものを選べるようにした。

 それらは、泉佐野市の特産品でも何でもないので、総務省は何度もやめるように要請した。だが、泉佐野市は聞き入れなかった。その結果、寄付金の急増によって、財政破綻から脱することができた。総務省は、特産品のない泉佐野市が財政破綻することが、公平な自治体間競争だの結果だと言い切れるだろうか。