大坂なおみ選手とバイン・サーシャコーチ全豪オープンで練習を行う大坂なおみ選手とバイン・サーシャコーチ 写真:AP/アフロ

「大坂なおみ選手がサーシャ・バインコーチとの契約を解消した」というニュースが報じられ、日本中に驚きと落胆が走った。「大坂なおみ選手はサーシャコーチなしで大丈夫なのだろうか?」と、多くのファンが大坂選手の今後を心配している。

 サーシャコーチと2017年12月に契約してから、大坂選手の快進撃が始まった。眠れる才能が開花し、飛ぶ鳥を落とす勢いに乗った。昨年3月のBNPパリバ・オープンで優勝したばかりか、秋の全米オープンでメジャー制覇を果たし、今年1月の全豪オープンでも四大トーナメント連覇を飾った。結果、世界ランキング1位にまで駆け上がった。

「すべてはサーシャコーチの存在があったから」と報じられがちだった。だからこそ、「なぜ?」とファンが暗い気持ちになるのも当然。だが、今回のニュースに接して、私はあまり驚かなかった。「やっぱりそうか」と、腑に落ちる感じがあった。そしてすぐ、ある光景が頭に浮かんだ。

全豪オープンの準々決勝で見た
バインコーチの明らかな変化

 全豪オープンの準々決勝、プリスコバとの試合中のことだった。大坂選手がポイントを奪った直後、テレビ画面はコーチ席を映し出した。観客や他のスタッフが真剣な表情で拍手を送る中、バインコーチだけは斜に構え、冴えない表情で、形ばかりの拍手をしていたのだ。

 全豪オープンのベスト4をかけた戦いの最中にこのテンションの低さはありえない。ポーカーフェイスならわかる。違う、明らかにバインコーチは複雑な心情を抱え、勝負に身を入れていなかった。このとき、チームなおみの内部で何かが起こっている、と感じた。現地からも大会中、大坂選手がバインコーチと練習する時間が短いことや予定していた練習に姿を現さなかったなどの情報が伝えられていた。