年上部下のチャレンジ精神を奪ってしまった管理職の無神経な言葉写真はイメージです Photo:PIXTA

価値観が多様化し、働き方に対する考え方もさまざま。管理職世代が思っているキャリア形成だけが正しいという時代は終わりました。にもかかわらず、管理職が自分の価値観を押しつけ、部下のチャンスを摘むようなことになれば、組織としても損失になります。『管理職養成講座』第29回では、年上の部下が希望する新たなキャリア形成の機会を奪ってしまった管理職の失敗事例を紹介します。(MICA COCORO代表 産業カウンセラー 宮本実果)

年上部下のキャリア相談に動揺し
無神経な回答をしたリーダー

 大手IT企業に勤める35歳のNさんは、新卒からSEとして入社し、システム開発部のプロジェクトリーダーを任されています。さわやかな笑顔で、誰とでも気兼ねなくコミュニケーションが取れるので、若手の社員から好かれています。

 Nリーダーは若くして管理職に就いたため、5人の部下の中には40歳で年上の部下Aさんがいます。Aさんは、毎週金曜日のプロジェクトメンバーの飲み会には、ほぼ参加せず、自宅で待つ小学生の息子と一緒にいる時間を最優先に考えています。