嫌なことを先延ばしにしたい
「現在バイアス」という心のわな

 これには「現在バイアス」という“心のわな”がある。これは、嫌なことや面倒なことを先延ばしにしたいという心理だ。

 例えば小学校のとき、夏休みの宿題をぎりぎりになって慌てて取り組んだという人は多いだろう。宿題という嫌なものは、早くやるに越したことはないと分かっていても、つい目先の利益、つまり遊びに行く方を優先させてしまう傾向、これが現在バイアスだ。

 このため、人はどうしても老後のための資金をためるよりも、遊びや買い物に使ってしまいがちになってしまう傾向がある。さらに厄介なことに、遠い将来に得られる利益の価値を大きく割引いて低く見積もり、目先の価値をより高く評価してしまう「双曲割引」という心理現象もこれに加わるから、余計に将来に向けた蓄えは難しくなるのだ。

 サラリーマンの場合を考えてみると、収入はほぼ一定なので問題ないが、支出の方が現在バイアスや双曲割引によって、大きく乱れがちになるのだ。

 資産形成のために計画的に貯蓄や投資をすべきだと分かっていながら、どうしても目先の旅行や食事などの楽しいイベントにお金を使ってしまう。さらに買い物についても本来は計画的に支出していくべきなのだが、つい衝動買いなどをしてしまいがちになるので、なかなか難しいのだ。

 では、一体どうすればいいのだろうか。サラリーマンならではの対策が2つある。1つは給与天引きをフルに活用すること、そしてもう1つは会社の制度を大いに利用することだ。