日銀は、総裁会見などでの「公式表明」はともかく、実態としては、金融正常化への「出口戦略」を進める政策へ路線転換をしている。
国債買い入れの減額(いわゆるステルステーパリング)に続き、昨年7月の「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」以降は、0.1%への長期金利誘導目標の引き上げを図ってきた。
だがここにきて、もくろみ通りに事は運ばなくなった。
米国FRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長が、1月4日の全米経済学界で、利上げ停止を示唆するかのような発言を行った(以下「利上げ停止発言」)からだ。
その発言を機に、一時は0.1%超の水準が定着するかに思われた日本の長期金利(10年国債利回り)は、再び「マイナス%圏」まで低下した。
「出口戦略」は停滞を余儀なくされ、ますます難易度とリスクが高まる。だが問題はそれだけにとどまらない。