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この3~4年、ユーロ圏とスイス、スウェーデン、デンマーク、日本の中央銀行はマイナス金利政策を採用してきた。しかし、その景気刺激効果はいまひとつはっきりしない。
もし効果が明瞭であれば、国内経済が過熱し、政策を解除している中銀が出ているはずだが、どこもそうなってはいない。このため最近、マイナス金利政策を批判する経済論文が登場してきている。
米ハーバード大学のサマーズ教授やノルウェー中銀のJuelsrudエコノミストらの論文は、マイナス金利政策の総需要刺激効果に非常に懐疑的だ。スウェーデンでは国内総生産(GDP)をかえって0.07%押し下げてしまったという。スウェーデン中銀はこれにカチンときたらしく、反論を1月に公表し、論争が起きている。
アラブ首長国連邦(UAE)のシャルジャ大学のMolyneux教授や米財務省のソーントン金融安定アドバイザーらの論文もマイナス金利政策に否定的だ。経済協力開発機構(OECD)33ヵ国の6000以上の銀行を比較したところ、マイナス金利政策を採用していない国よりも、採用国の方が貸し出しの伸びが弱くなっているという。