そんな一力さんが大事にするのは、何を食べるかよりも“食べ方”。おなかがすいて、何を食べようかと考えて、おいしく食べる喜び。それが若々しい食べ方なのかもしれない、と言います。

「1週間でバランスを見たり、タンパク質は意識してとったりするようにしています。でも、基本的には、そのとき食べたいと思ったものが自分に必要な栄養なのかも、と欲求に素直になるようにしています」と言いながらも「でも、甘い物への欲求だけは気をつけます」とするのは私も見習いたいところです。

 小鉢があると満足感があるから、と普段から和食のお夕飯が多い一力さん。インタビュー前夜のご飯をお聞きすると「炊き込みご飯に豚汁に焼き魚に…」となんだかパーフェクトなママっぷり。それにひるむ私に「自分が考える“ママとしての正しさ”は手放したの!」と笑います。

「以前は、子どもたちの食事もこうでなくちゃ、というものがあったけど、子どもたちは子どもたちで小学校や保育園で残さず食べて、ちゃんと栄養をとっている。だから、今は、家で無理に食べさせるよりも、楽しく食べることを優先しています。子どもたちとの食事は、その中身よりも、食事時間の過ごし方や会話の方が大事!」

 ポイントを押さえながらも、どこかおおらか。そんな一力さんに、かつての自分のように、忙しさのあまり食をおろそかにしている後輩がいたらどのように声をかけますか?とお聞きしたら、「忙しいから食べなくなるよりは、たとえ太ったとしてもちゃんと食べた方がいい、かな?」と思いがけない言葉が返ってきました。

「仕事は、体力を削ったり、文字通り、身を削ってまでやることではない。そして、食べるという自分のための時間を確保することが、長期的に見れば仕事にも良い影響を与えると思います」

 クライアントを輝かせるだけではなく、一力さん自身もとても輝いて見えるのは、実直に自らと向き合って、分析して、改善して、こだわりを捨てて常に更新し続ける、というスタイルのせいなのかもしれません。今回の一力さんの食のスタイルには、自分を大切に扱うことの大切さを学ばせていただいたように思います。

(栄養士・食事カウンセラー 笠井奈津子)