もともとホンダは商品を必要とされているところで作る“地産地消”の考え方が強いメーカーだ。その文法に従えば、販売がまったく伸びなかった欧州を切るのは当然の判断と言える。

 実際、ホンダは“英国離脱”の機を虎視眈々(こしたんたん)と狙っていた。

欧州でアコード販売をやめたのは
自らショボいと宣伝するようなもの

 本田技術研究所の幹部は言う。

「2015年に欧州でのホンダのラインナップにおいて実質トップモデルであった『アコード』(フォルクスワーゲン『パサート』、日本車ではマツダ『6(日本名アテンザ)』などと同クラスの中型乗用車)の販売をやめましたよね。あれは伊東(孝紳・前社長)時代の判断ですが、欧州ではこのクラスはDセグメントと呼ばれていて、それをきちんと作れることが一流と認められるパスポート。

 それをやめて格下のCセグメント『シビック』が実質トップなんて、現地の顧客に“自分たちはショボい”と宣伝しているようなもの。小さいクラスだけで成功しているメーカーもありますが、ホンダはそういうブランドではない。そのことは経営陣もよく知っているはずです。そのアコードをフェードアウトさせたということは、競争の激しい欧州から逃げるということだったんですよ」

 アコードの販売を終了させたのと前後して、欧州現地法人に社長を常駐させなくなった。

 ホンダの経営方針の1つである世界六極体制における欧州の位置づけも、以前は単独で1極とされていたものを、今は中東・アフリカをひっくるめた“マイノリティ市場”へと格下げしている。つまり、着々と“英国離脱”の準備を進めてきていたのである。

 今回、念願かなってそれを実行に移すことができた。

 そのこと自体は別に非難されるようなことではない。何しろ今のホンダには、欧州に赤字の工場を抱えている余裕など微塵(みじん)もない。四輪車の収益性は非常に低く、今年の第3四半期には利益率が完全な危険水域の1%台をつけた。

 また、グループの中核となるべき日本のホンダの単独決算も「2018年度の決算が出ていないうちからこのままだと400億円以上の赤字になるから何とかしないと、管理職に通達が出て、対策に追われている」(ホンダ関係者)など、ぐらついている。