何よりも大切なのは
「謙虚さ」である

二流のままでは、リストラされても、
次の転職先を見つけるのは容易ではないだろう。

二流から一流へと成長し、さらに高い洞察力を持つ超一流の人材は、
高く評価されるからこそ出世もするし、年収もアップする。

たとえ転職したとしても引く手数多だから、おそらく一生喰うに困らない。

何にせよ、目標を持つのは、大事な初めの一歩である。
だが、自分の立ち位置も定まらないうちに、
何が何でも超一流のビジネスパーソンになるという目標を掲げるのは、焦りすぎだ。

私は、どのような仕事においても、何よりも大切なのは「謙虚さ」だと思う。

謙虚であれば、他人の意見やアイデアに素直に耳を傾けられるから、
自分一人では決して得られないような学びにつながりやすい。
謙虚に我が身を振り返ってみれば、
唐突に超一流を目指すと宣言するだけの土台が、
自らにないと自覚できるだろう。
(すでに超一流を自覚している人間は『できる人の読書術』といった類いの本を読むとは思えない)。

逆説的にいうなら、
謙虚さを持っている人だけが、一流から超一流へとジャンプアップできる。
謙虚になれず、自分を知らない人間に、成長は望めないのである。

【次回へ続く】

堀 紘一(ほり・こういち)
1945年兵庫県生まれ。東京大学法学部卒業後、読売新聞経済部を経て、73年から三菱商事に勤務。ハーバード・ビジネススクールでMBA with High Distinction(Baker Scholar)を日本人として初めて取得後、ボストンコンサルティンググループで国内外の一流企業の経営戦略策定を支援する。89年より同社代表取締役社長。2000年6月、ベンチャー企業の支援・コンサルティングを行うドリームインキュベータを設立、代表取締役社長に就任。05年9月、同社を東証1部に上場させる。現在、取締役ファウンダ