英高級車メーカーのアストンマーティンが成長に向かう道には、映画「007」シリーズに出てきてもおかしくないほどの障害物がある。しかし少なくとも、投資家が同社株に高い金額を払う必要はもうなさそうだ。決算発表を受け、アストンマーティンの株価は28日に一時17%急落した。昨年10月の新規株式公開(IPO)以降では40%の下落だ。同社はIPO当時、高いバリュエーションがふさわしい高級ブランドだという売り込みで予想外の成功を収めた。それから5カ月が経ち、同社のバリュエーションは一般自動車メーカーの水準に近づいている。財務状況の不安定さとリスクの高い戦略を踏まえると、その方が妥当に思える。スポーツカー「ヴァンテージ」の復活などもあり、昨年のディーラーへの販売台数は前年比26%増となった。同社は今年の販売台数が同12%前後の伸びになると予想している。新型スポーツ用多目的車(SUV)がショールームに登場するのは2020年で、同社の財務計画は販売価格が14万ポンド(約2070万円)となるそのSUVの成功に依存するところが大きい。