ドナルド・トランプ米大統領に批判的な向きはあら探しをしている。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との非核化を巡る米朝首脳会談は、事務方など下位レベルで詳細が固まっていなかったから台無しになったというのだ。われわれはむしろ、トランプ氏が合意せずに席を立ったことの方を高く評価する。北朝鮮の核兵器放棄を求める内容にはなっていなかったからだ。北朝鮮の軍事的脅威には長い歴史があるが、核兵器やそれを太平洋の反対側に到達させるミサイルを開発・実験したのはごく最近のことだ。北朝鮮は2017年終盤になって大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15号」の発射実験を成功させた。理論上は米国本土の奥深くまで射程に収めたことになる。現在の米大統領(そこに居合わせたトランプ氏)にとって、これは厳しい現実だ。この脅威にどうにか対処しなければならず、そこでトランプ氏は従来の外交的慣習を捨て去った。
【社説】米朝会談で席立ったトランプ氏は正しい
非核化に程遠い提案を拒否したことを高く評価
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