1年半で必須アイテムに

 そもそも、自動運転用の地図には、膨大なデータが必要だ。刻一刻と変わる歩行者や周辺車両、信号機などの動的な情報から、事故、道路工事といった日単位、月単位で変わるものまでさまざまな情報を整備せねばならない。

 ただ、動的な情報をいかに活用するかは、自動運転における重大なノウハウだ。動的情報にまつわる地図は、自動車各社の自動運転車に搭載されたセンサーとの“相性の良さ”などが個別に細かく求められることになる。

 だからこそDMPは、車道の中心線や交通標識など、変化が少ない静的な情報に特化した地図データの収集に経営資源を集中する。こうした静的な情報を扱う地図は差別化要素が少なく、各社が協調することによって得られるコストメリットが大きい。そのため、いわばインフラとして画一的な地図への集約を図りやすいからだ。

 DMPは日本における3万キロメートルの統一地図データをこの3月に自動車各社に納品予定だ。さらに今回の買収によって米国市場を取り込むことで、欧州ヒアなどの競合や、独自の自動運転車と3次元地図で自動車市場に殴り込みをかけようとする米グーグルなどの新興勢をけん制する。

 実は、高精度の3次元地図はほんの最近まで、自動運転車に搭載されるセンサーがあれば必要ないのではないかと、存在意義すら疑われていた。しかし、車のセンサーで都度、対象物を把握しながら走るのでは乗り心地が悪くなるなど、問題が徐々に明らかとなり、この1年半で必須アイテムとしての地位が確立された。

 自動運転用の地図をめぐるグローバルな競争が過熱している。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)