NISA「裏技」の思い出
2014年に、通称「NISA」こと少額投資非課税制度がスタートした。この制度は、5年間継続せずに途中で売却すると節税運用枠が消失して「もったいない」ので、(1)途中で売りたくなりにくいこと(個別株だと業績悪化などで売りたくなる公算が大きい)、(2)持ちきるためにはリスクを抑えた分散投資がいいこと、(3)手数料が高い運用は不利であることの3つの条件を考慮して、「ETF(上場型投資信託)などのインデックス・ファンドで手数料が安い物をじっと持つのが正解だ」と投資家にお勧めした。
この推奨内容は、今でも間違っていないと筆者は考えている。せっかく運用益非課税で運用できるのに、期待リターンの高い資産に集中的に投資しないのはもったいないし、現在、投資効率がよくない債券を混ぜたバランスファンドに投資するのは投資効率を損なうし、分配金を強調するファンドは複利運用の効果が損なわれる点で不向きである(どんな口座で投資しても、毎月分配型投信が真に効率的な投資になる投資家は存在しないが)。
当時を思い出すと、筆者はNISA利用のいわば「裏技」として、NISAの投資枠(当初年間100万円、現在は120万円)で起こり得る損失を十分カバーできるような富裕層に対して、「レバレッジが掛かったインデックス投信に持ち切りで投資すると、節税枠を実質的により大きく活用することができるかもしれない」とも提案した。あくまでもリスクに余裕のある富裕層向けだ。