最高裁で無罪確定でも
悪評が消えなかった三浦和義氏

 なんてことを言うと、「いや、無罪になればゴーン氏の名誉回復もなされるので世間の受け取り方も変わるはずだ」と主張される方もいるかもしれないが、事実として、日本ではそういうケースはほとんどない。

「マスコミ法廷」で「クロ」と言う判決が出た人間は、その後の司法裁判で「シロ」となっても、「クロ」のままだ。

 逮捕で身柄を拘束されている間に、マスコミが作り出すイメージでその後の人生がすべて決まってしまうのである。

 わかりやすい例が、弘中氏を「無罪請負人」として一躍世間に知らしめた「ロス疑惑」だ。

 この事件の被告人だった三浦和義氏とは、かつて担当編集者を務めていたこともあって、仕事以外でも親しくさせていただいた。興味深い相談を持ちかけられることもあったし、普通の生活を送っていたら絶対に会わないような方たちや、足を踏み入れられないような場所に三浦氏が連れて行ってくれることもあった。

 そういう付き合いをしていると、ロス疑惑をオンタイムで取材していた先輩記者やジャーナリストの皆さんからこんな感じで、心配されることが多かった。

「あいつは絶対にクロだ。お前もあまり深く付き合うとひどい目にあうぞ」

 だが、意外だったのは、同じようなことをマスコミ以外の友人知人、先輩方から言われたのだ。取材者として、それなりに事件を追ったわけでもなく、新聞やテレビで見ていただけの人が三浦氏を「クロ」だと断定していたのだ。

「あの人って結局、奥さんを殺してるんでしょ」

 つまり、「ロス疑惑」報道の印象があまりに鮮烈すぎて、後に最高裁で無罪判決を受けたことなど全くご存じない方が圧倒的に多いのだ。そして、このような誤解は有罪無罪だけに止まらない。