世界経済が控えめながら底堅く成長している現在、業績不振に陥る企業は2つのセクターに集中する傾向がある。それは小売りとエネルギーだ。だが投資家やアナリストは、世界の自動車産業がこれに加わる可能性があると次第に警戒を強めている。コンサルティング会社アリックスパートナーズが企業再建の専門家を対象に行った最新調査では、回答者の約3分の1が2019年に業績不振に直面する可能性が最も高い3つのセクターの1つとして自動車を挙げた。前年の調査に比べてほぼ5倍に増えた。これを上回る数の回答を集めたのは小売りとエネルギーだけだった。今のところ、主要自動車企業で社債の取引水準が財務リスクを示しているのは、インド自動車大手タタ・モーターズや傘下の英高級車ブランド、ジャガー・ランドローバー(JLR)、米自動車シートメーカーのアディエントなど一握りにとどまる。しかし自動車業界が景気後退懸念や構造的問題――短期的には自動車販売の落ち込み、長期的には環境規制やライドシェア企業の台頭――の嵐に巻き込まれる予感の中、財務リスクを示す自動車関連会社が増えるのではないかと懸念されている。