この二つのアクセラレーターに共通するのは、事業創造の実績があり、スタートアップのコミュニティーで尊敬されている人物が始めた点だ。YCの創業者であるポール・グレアム氏は、革新的なソフトウエア言語だったLispの創成期の専門家であり、500スタートアップス創業者のデイブ・マクルーア氏は、フィンテックの草分けであるペイパルの役員だった。

 グレアム氏もマクルーア氏もブログなどで多くの支持を得ていたオピニオンリーダーだ。アクセラレーターとして活動を始めると、彼らを慕って多くの起業成功者たちが、起業家たちをサポートするメンターとして参画してきた。

 私利私欲のない支援は、結果として十分な投資リターンを生む原動力となっている。そしてその高い実績が、実力のある起業家を引き付けるという、好循環を生み出している。YC、500スタートアップスのどちらも、応募する起業家、スタートアップのうちプログラムに参加できるのは数パーセントの狭き門といわれている。

やみくもに穴を掘るべからず

 イノベーション活動の経験が少ない一般企業では、プロの助けなしに金鉱掘りは難しい。アクセラレーターから輩出された優良なスタートアップに投資できるような仕組みを構築するのは一考に値するだろう。

 最近では、スタートアップを支援するVCに出資し、効率的に金鉱を掘り当てようとする日本企業も増えてきた。

 シリコンバレーに根を張り、鉱脈を探し続けているアクセラレーターやVCは、独特なノウハウや人脈を持っている。本気でオープンイノベーションを目指すなら、実績のある、一流のアクセラレーターやVCと関係を構築する方法を考えてはどうだろうか。

 ゴールドラッシュの波に乗ってシリコンバレーに渡り、やみくもに穴を掘れば鉱脈にたどり着くほど、イノベーションは簡単ではないのだ。

*「週刊ダイヤモンド」2019年2月16日号より転載。「シリコンバレーの流儀」は隔週連載です。