経営幹部が自らイノベーションをけん引する人材を発掘・採用し、チームを組成するのが理想だ Illustration:iStock/gettyimages

 先日、ノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑・京都大学高等研究院特別教授がこうコメントしていた。

 「(イノベーションを起こすには)ばかげた挑戦をやりやすくする環境整備をすべきだ」

 これは全ての日本企業が肝に銘ずる言葉だ。もし私がここに付け加えさせてもらえるなら、ばかげた挑戦にチャレンジできる人材(イノベーション人材)の育成・獲得にも、企業は同時に取り組むべきということだ。多くの企業にとって環境整備と同じく、大きな課題だ。

 ばかげた挑戦を進めることができる人材とは、企業の既存の価値観で「優秀」と思われる人材ではない。基本的な能力に加え、「夢へのこだわり、成功への執着心、創造的な発想、リスク志向、反骨精神」を持つ人材だ。

 そんな人材を育成しようと、多くの日本企業がイノベーションの中心地であるシリコンバレーにスタッフを日本から新たに派遣、増員している。ただ、各企業は苦労しているようだ。イノベーションは個人の興味、直感、エネルギーなどによるところが大きいので、今までの人事ではうまくいかないのだ。

 例えば、経営幹部はきちんと幹部の要求をこなし、予定調和を保つ優秀な人材を好む傾向にある。そこで、イノベーションの新組織に企画部門や調査部門のスタッフを配することが散見される。だが、情報収集、市場調査・分析を行うまではいいが、イノベーションのような先の見えない活動にもかかわらず、計画を立ててしまう。

 また、イノベーションが「技術革新」と誤訳されていることもあり、技術そのものに興味を持ち、ソリューションを考えられないような研究開発部門の技術者が配属されることもある。これは、イノベーション人材とは似て非なるものだ。