強軍路線で
国威発揚を目指す習近平国家主席

 政治面でも、習主席への不満が噴出している。習氏は、覇権を強化し、自らの強大さを国内外に示したい。米国のオバマ前大統領がアジア政策を軽視したことは、習氏にとって大きなチャンスだった。

 一方、軍事力の拡充は思うように進んでいない。共産党内部では、「米国にケンカを売るのが早すぎた」といった批判が増えている。その原因の1つは、軍事技術の未成熟さだ。南シナ海において、米国は“航行の自由”を重視している。これは、米国の軍事作戦だ。南シナ海にて米国は艦隊の航行訓練を行い、中国に圧力をかけている。

 中国が米国の圧力に対抗するには、米艦隊が南シナ海を航行しづらい状況を作らなければならない。そのために、中国は旧ソ連製のスクラップ艦を購入して改修し、航空母艦“遼寧”を就役させた。2020年には、初の国産空母が就役予定とみられる。

 2隻目までの中国空母は、飛行甲板の先を上方にそり上げた“スキージャンプ式”を採用している。米空母に搭載されている“蒸気式カタパルト(飛行機を固定して射出する装置)”は搭載されていない。カタパルトがないと、戦闘機の武器搭載量は制約されてしまう。これは、中国の航空母艦の建造技術が未成熟であることの裏返しだ。

 この状況の中、中国は3隻目の空母に最新式の“電磁式カタパルト”の搭載を目指している。つまり、中国は新しい軍事技術の利用を目指している。ただ、今のところ、中国国内にはそうした技術は見当たらない。中国は、海外企業に依存しなければならないことになる。

 全人代で軍事予算(国防費)が前年から7.5%積み増されたのは、軍事技術を引き上げ、覇権強化の足場を整えるためだ。習主席は軍事力を強化することで米国への対抗力を固め、民衆の支持を得たい。その発想は、軍事力拡充(強国)路線による国威発揚だ。