手術が成功すれば、不整脈を根本的に治しきることが可能だ。

 日本における不整脈治療のパイオニアであり、日本不整脈学会会頭(理事長)等の要職を歴任してきた先生のもとには、不整脈治療に関するあらゆる最新情報がもたらされてきた。

「僕が在職していた間、日本の不整脈治療の新たなテクノロジーは弘前大学から始まることが多かったのですが、今後は、済生会熊本病院が発信地になるでしょう。責任は重大です」

 この認識は正しい。済生会熊本病院の心臓血管センターは、先生が赴任した2016年、500例以上のカテーテル・アブレーションを実施した。2018年には860例まで増えた。これは日本でもトップクラスの症例数だ。また循環器内科では2018年、南九州初となる、僧帽弁閉鎖不全症に対するカテーテル治療を始め、先駆的な医療を立て続けにスタートさせた。

「不整脈の診療を少しでもレベルアップできれば、それが恩返しになる」という奥村先生のもくろみは、早くも心臓病医療全般に波及し、達成された。

 つまり、1人の医師の存在が、首都圏から遠く離れた熊本を、心臓病医療の「名所」に変えようとしているのである。こんなおもしろいことがあるだろうか。

日本よりも世界へ
グローバルなほうがおもしろい

 奥村先生は中学時代から医師を志していた。

「単純に人助けがしたかった。手段はいろいろあるが、ダイレクトにできるのは医者だと思った」と振り返る。

 大学は、当時の大学紛争の影響もあり、熊本大学と東京医科歯科大学の医学部を受験。両方合格したが、「地元で勉強したかった」ので、熊本大学へ進んだ。

 広くグローバルな視点を持ち、「常に頭を最新にしておくこと」に対するこだわりを、学生時代から今日まで貫いてきた。「その姿勢があれば、何をやってもおもしろい」と言い切る。

 学生時代によく勉強したのは、内科学のバイブルと称される『ハリソン内科学』。英文の原著で読み、熱心に学んだ。