日本ではひとくくりに「大麻」というだけで違法である、と認識されがちだが、実は大麻の成分には、日本でも違法ではなく、かつ健康に良い効果が期待できるとされるものもある。その成分を利用したのが、欧米で人気の「CBDオイル」である。
欧米で合法化が広がる
大麻の利用
昨年10月、カナダが嗜好品としての大麻の使用を合法化したことが話題になった。2013年に南米ウルグアイがブラックマーケットの解体を目的に初めて大麻を合法化し、アメリカも州単位で次々とこれに続くさなかのことであった(現在医療用大麻の利用は33州で、嗜好品としては10州で合法)。現地大麻関連産業は「グリーンラッシュ」と呼ばれる急成長にわいている。
しかしこの流れを受けて日本の領事館がカナダを訪れる邦人に対して「日本国外であっても大麻に手を出さないように十分注意願います」と警告を出したことからも明らかなように、日本で同様の利用の是非を問う議論は、いまだ論外の感がある。
日本の国土には古くから麻が自生しており、特に神道との関係が深く注連縄や布などの材料として縄文時代から栽培されていたが、戦後アメリカが当時の自国の法を持ち込む形で、栽培も含めほとんどの利用が違法化された。上述のように違法化した本人であるアメリカがどんどん合法化に向かっている現在でも、私たち日本人の多くにとって、薬物としての大麻は近寄りがたいイメージではないだろうか。
植物としての大麻から採取できる「有効成分」には主に2種類ある。花穂や葉から抽出され幻覚作用や多幸感をもたらすテトラヒドロカンナビノール(THC)と、茎や種子に含まれるカンナビジオール(CBD)だ。後者が向精神作用がなく、主に医療用にのみ利用される成分である。
強力な抗酸化作用と、がんやてんかん、不眠症、慢性の痛みなどへの効果の報告を受けて日本でも利用者が増加している。
日本の大麻取締法には「(違法化の対象は)麻の茎および種子それら由来の製品は除外される」とあり、CBDオイルの利用は違法でない。だが現状としては流通している製品の9割以上が海外製品であり、内容や価格も様々だが、いずれも「いいお値段」な感は否めない。