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 アベノミクスの6年間、企業利益は著しく増加した。なぜこのように増加したのか?

 それは、人件費の伸びが抑えられたからだ。仮に人件費が売り上げと同率で増加したなら、利益はほとんど増加しなかったろう。

 人件費が圧迫されたのは、零細企業の売り上げが伸びなかったため人員が削減され、その労働力が大企業に移る際に非正規化したからだ。

 結局のところ、零細企業の惨状が、利益を増加させたのである。

人件費が0.7%しか増加しなかったために、
利益が55%も増加した

 図表1は、2012年から18年にかけての企業の利益などを示したものだ(注1)

 この間に、営業利益は55%も増加した。しかし、人件費は0.7%しか増加しなかった(年平均上昇率では1.13%)。売上高の増加率が16%だったことと比べても、人件費の伸びは低い。

(注1)営業利益=売上高-(売上原価+販売費)

 人件費は、売上原価にも販売費にも含まれる。人件費は、前回用いた従業員給与より広範囲の概念。2018年10~12月期において、全産業(除く金融保険業)、全規模で、従業員数は3440万2797人、人員計は3667万5932人、従業員給与は、30兆2526億500万円、人件費計は47兆4678億1400万円である。

 なお、ここでは、「売上原価+販売費」を「原価総額」ということにする。1人当たり人件費を「賃金」ということがある。