ビットコイン相場を主にけん引してきたのはモメンタムだが、現時点ではそれが失われている。主要な機関投資家が仮想通貨になかなか手を出さないうえ、規制が不透明なせいで潜在的なユーザーからも敬遠されている。仮想通貨ブームを受けて乱立した業者は次の相場回復まで逆風にさらされる。仮想通貨の愛好者は相場回復がどこからいつやってくるのか見当もつかない。

 ビットコインの価格は2016年12月の水準はまだ大幅に上回っているものの、最近の急落で2度と持ち直さないのではないかとの懸念が高まっている。市場の長期的存続は、ビットコインの具体的用途の開発とそれを支えるブロックチェーン技術にかかっている。

 仮想通貨市場はそもそも非常に不安定な性質がある。2011年にはビットコイン価格が約95%急落したことがある。2013年12月から2015年1月にかけては85%下落した。ビットコインを決済手段にしていた違法薬物売買サイト「シルクロード」が閉鎖に追い込まれたほか、仮想通貨取引所マウントゴックスで巨額のビットコインが消失するなどの不祥事も起きた。

 だが数々の波乱に見舞われた初期に比べ、仮想通貨市場ははるかに規模が大きくなっており、今やその影響力は広範囲に及ぶ。欧米諸国は仮想通貨に暗黙の、あるいは明確な承認を与え、ベンチャーキャピタル(VC)もこれを支援している。基幹技術のブロックチェーンは、サプライチェーン管理や資本市場の取引など多様な分野に応用する道が見つかりつつある。

 だが過去1年の価格急落で一部の仮想通貨企業はコスト削減にかじを切った。「まだ(オフィスに)コーヒーはある」。USBメモリに似た仮想通貨用ウォレットを製造する仏企業レッジャーのエリック・ラルシュべキ最高経営責任者(CEO)はこう語る。「だがそれ以外は廃止した」。交通費や広告費も切り詰めているが、何とかレイオフは回避したという。

 「一日一日何とか対処している」とラルシュべキ氏は話す。同社は2018年1月に7500万ドルを調達した。その資金と製品の売上高でこれまでは会社を維持できたが、今は節約を重視する経営を強めている。「18カ月後も会社が残っていてほしいと願う」

 一方で、この機に乗じて規模の小さい同業者を次々に買収するケースも見受けられる。仮想通貨ブームのさなかに多額の資金を集めていた企業だ。仮想通貨ウォレットサービスやトレーディングデスクなどを運営する米サークル・インターネット・フィナンシャルは、総額2億4600万ドルをゴールドマン・サックスなどの投資家から調達した。昨年は仮想通貨取引所のポロニエックスを買収。今月にはクラウドファンディングを手がけるシードインベストの買収を終えた。