>>(上)より続く

息子にも譲りたくないライダー役
イケメン俳優と同化したい心

 歴代の仮面ライダー役をした俳優は皆イケメンで、ライダー役を終えたあとも人気が続く。ライダー役がイケメンであるか否かは『仮面ライダーシリーズ』を楽しみに見ている少年にとってはさして関係なさそうだが、保護者たるお母さんにとっては重要なポイントである。

 イケメンライダーが敵と対峙すれば少年は「ライダーがんばれやっつけろ!」と応援し、お母さんは「アラ、いいオトコ…」と呟く。イケメンライダーがピンチを迎えれば少年「負けるなライダー! ライダー! がんばれライダアアアアーーー!」、お母さん「本当にいいオトコ……!」である。

 今から4年前、Bさん(36歳女性)は当時6歳の息子とともに『仮面ライダードライブ』を観ていた。ライダー役を演じるは竹内涼真、紛うことなきイケメン俳優である。新聞紙で作った模造刀を振り回す息子の横で、Bさんは画面を見つめてポーッとなっていた。

 それから毎週、Bさんは仮面ライダーの時間を下手すると息子より楽しみにするようになった。結婚する前までは海外の俳優に熱を上げたこともあったが、結婚後は慎ましくあろうと努め、そうした世界から遠ざかっていた。いやしかし久しぶりに触れたこの世界、ハリウッド映画とは違うとはいえ、世の中には自分の想像すら及ばない絶世のイケメンが実在しているのである!

 3週目を観終えたあたりでBさんはほぼ恋に落ちていた。しかし嫉妬深い性格の夫にそれを知られるわけにはいかない。息子のライダー熱を利用する形で、Bさんは堂々と録画した『仮面ライダードライブ』を視聴した。

「見れば見るほど魅力的で、胸が苦しくなった(笑)」(Bさん)

 なお、Bさんのこのうたかたの恋は沈静化して久しいのでご安心願いたい。