だが利用者は、提供するデータがどう守られ、どう使われているかを知るすべはない。情報の保護に本来掛けるべきコストを掛けていないとすれば、それは提供する財の品質が不当に“買いたたかれている”ことを意味する。杉本委員長は「データを不当に囲い込む行為などは問題があるという視点で対応する」と述べ、独占禁止法上の理論整理を検討すると明らかにした。

 杉本委員長の念頭にあるのは、欧州の事例だ。欧州連合(EU)欧州委員会は3月20日、米グーグルに対し、インターネット広告の分野でEU競争法(独占禁止法)に違反したとして14億9000万ユーロ(約1900億円)の制裁金を科した。また、ドイツの独禁当局は2月、FBが傘下のアプリなどを通じて利用者のデータを収集、活用していることが、独禁法が禁じる「優越的地位の乱用」に当たると判断した。他の欧州各国もグーグルやアマゾンへの調査を始めている(下図参照)。プラットフォーマーがデータを独占する現状を問題視し、法規制の動きが各国で顕在化しているのだ。

 日本では昨夏、プラットフォーマーをめぐる取引環境整備に関する検討会が設置され、年末に基本原則を策定。検討会のメンバーである大橋弘・東京大学大学院経済学研究科教授は「プラットフォームの社会的存在意義が増す中、情報流通の公平性や透明性が求められている」と述べる。

 公取委は年明けから調査に着手。プラットフォームを利用する事業者や消費者への聞き取りを実施し、プラットフォーマーが保有するデータの取り扱いや契約実態などの全容を把握する。独禁法40条に基づく強制調査の発動も辞さない構えだ。