3月19日から20日にかけて開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)での決定は、すでに織り込まれていたものが多く、市場関係者にとって大きなサプライズとならなかった。ただ、今回のFOMCを受け、米国株式市場が米連邦準備理事会(FRB)に利下げを催促する可能性もあり、為替市場ではドル売り先行の展開も視野に入る。
FRBは20日、FOMCでフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を2.25~2.50%で据え置くことを全会一致で決定。FRBの保有資産の縮小(いわゆる量的引き締め)は、今年5月より縮小ペースを毎月最大300億ドルから最大150億ドルに減速させ、経済と金融市場の情勢が予想通りに推移すれば、同年9月には停止することも併せて発表した。
FOMCメンバーによる政策金利見通し(ドット・チャート)では、回答者17人中11人が今年(2019年)の利上げが見送られること(FF金利の据え置き)を示唆。来年(2020年)も7人がFF金利の据え置きを見込んでいることが示された。
パウエルFRB議長は、FOMC声明やドット・チャートの公表後の会見冒頭で、米国経済は好状態にあるとしながらも、状態を維持するために金融政策ツールを使用し続ける意向を表明。FRBの保有資産規模については、必要な水準を上回っている可能性を認めながらも、当面は一定に保つ考えを示し、雇用とインフレの見通しを通じた金融政策の変更には、しばらく時間がかかるとの見方も示した。
FOMCでの決定を受けて為替市場ではドルが下落。ドル円はFOMC声明の公表後に111円台半ばから111円ちょうど近辺に下落。その後もドル円はドル売り優勢の展開となり、一時は110円台半ば近辺まで下げたが、ニューヨーク市場終盤には110円台後半に持ち直した。
今回のFOMCで決まった追加利上げと量的引き締めの休止は、昨年までのFOMCと比べればハト派的であり、FOMC声明公表後にドルが下落したことも自然な反応と言える。
しかし、今年1月のFOMC声明や、その後のパウエル議長の発言を把握していれば、今回の決定はある程度予想されたものであり、大きく騒ぎ立てることもない。FOMC決定公表後のドル円の下げが(せいぜい)1円程度だったことも、こうした見方を裏付けている。