日銀は3月14・15日の会合で金融政策を据え置いた。一方、声明文においては、足もとの景気認識では「輸出・生産面に海外経済の減速の影響がみられる」との文言を追加し、判断の下方修正を行うとともに、先行きに関しても「拡大基調が続く」から「緩やかな拡大を続ける」へと文言変更が行われた。
すでに発表された指標でも日本経済の厳しい状況は確認されている。1月の鉱工業生産指数は前月比-3.7%と市場予想を大きく下回る内容となった。内訳では前月比で電気機械が-10.3%、電子部品・デバイスが-8.4%、汎用・業務用機械が-6.4%と急減をみせている。
1月の貿易統計では中国向け輸出が前年比-17.4%と大幅に減少していることや、決算発表時における日本企業のコメントから考えても、中国景気の減速が日本にも波及してきていると考えるのが自然だろう。
中国は3月5日から開催された全人代で、製造業の増値税(付加価値税)引き下げなどをはじめとした2兆元規模の減税を打ち出した。しかし、この程度では景気を下支えこそすれ、浮揚させるほどの規模ではなさそうで、しばらく中国向け需要は弱い状況が続きそうだ。
加えて、日本の実質国内総生産(GDP)は2018年10~12月期で前年比+0.3%にとどまっており、世界経済が強い成長をみせた昨年1年間ですらほとんど成長していなかったことが明らかになっている(2018暦年+0.8%成長の大部分は2017年後半に生じたプラスのゲタが原因)。
今後は消費増税前の駆け込み需要によって景気はある程度下支えされるだろうが、特に増税実施後の年度後半以降に景気が盛り上がるパスは描きにくくなっている。