ノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ教授は、2019年はトランプ米政権のひどい経済政策と扇動的な政治姿勢の結果がよりはっきりと見える年だと指摘する。

 ドナルド・トランプ米大統領の政権と与党・共和党は2017年末、法人税を1兆ドル減税する法案を強引に議会で通過させた。

 この減税による歳入減少分は、所得分布の中位にいる大多数の米国人への増税によって一部相殺される。当初、米国のビジネス界はこの施しに大喜びしたが、2018年には、その喜びはトランプ氏と彼の政策に対する不安に取って代わられるようになった。

 1年前、米国のビジネス・金融界のリーダーたちは、際限のない欲望から巨額の財政赤字に対する自身の嫌悪感にフタをした。しかし、今では、2017年の税制改革パッケージが史上最も逆進的で、時宜を得ない税制法案だったということを理解しつつある。

 先進国の中で最も格差の大きい国である米国において、何百万もの貧困世帯や未来の世代が、億万長者のための減税のツケを払っていくのである。

 また、米国の平均寿命は先進国の中で最も短いのに、この税制法案は健康保険の加入者が1300万人減少するように設計されていた。

 この立法措置の結果として、2019年会計年度(2018年10月~2019年9月)の財政赤字は1兆ドルになると米財務省は予測している。これは、景気後退期を除く平時の単年度としては、どの国も経験したことがない巨額の赤字である。

 おまけに、約束された設備投資の増加は実現していない。企業は労働者にスズメの涙ほど還元した後、利益のほとんどを自社株の買い戻しと配当に回してきた。

 だが、これは格別意外ではない。設備投資が確実性から効果を得るのに対し、トランプ氏は混乱を栄養源にしているのである。