漫画家藤子不二雄A氏の青春時代と戦後の漫画史を知るにはうってつけの一冊です(写真はイメージです) Photo:PIXTA

【おとなの漫画評vol.17】            
『まんが道』
中公文庫版全14巻 1996年6月~12月
藤子不二雄A  中央公論新社

『愛…しりそめし頃に…満賀道雄の青春』
新装版 全6巻 2018年9月~11月
藤子不二雄A  小学館

藤子不二雄Aの青春時代を
43年かけて描いた大長編漫画

 この2作、タイトルはまったく違うものの連続した作品である。著者は藤子不二雄A(以下「A氏」)で、本作はA氏の長い自伝なのだ。文庫で14巻プラスB6判400ページ前後の分厚い単行本で6巻を費やしている。

 A氏の自伝にとどまらず、戦後の漫画発達史を知るうえで重要な作品である(正しいペンネームの表記は「丸囲みA」だが、表示できないので藤子不二雄Aとする)。

 たいへんな大長編だから、1934年生まれ、2019年3月で85歳を迎えた大ベテランA氏の履歴がすべてわかるかというと、そうではない。

『まんが道』第1巻は、富山県高岡市の小学校5年時、少年A氏が転校先でもう1人の藤子・F・不二雄、つまり藤本弘(以下「F氏」)と出会った1945(昭和20)年から始まる。

 そして、いちばん最後の『愛…しりそめし頃に…』第6巻は、1959年に創刊された「週刊少年サンデー」(小学館)連載の作品「海の王子」が2年間の連載を終えた61年で物語の幕を下ろす。

 初巻から最終巻の間、A氏とF氏は11 歳から27歳。なんとわずか16年間の記録である。この自伝的作品の連載はいくつかの雑誌で断続的に掲載された。

『まんが道』の本格的な連載は「週刊少年チャンピオン」(秋田書店)と「週刊少年キング」(少年画報社)で、スタートは1970年である。

 第2幕である『愛…しりそめし頃に…』は「ビッグコミックオリジナル増刊」(小学館)で1995年から2013年まで続いていた。「増刊」は隔月で定期的に発行されている雑誌である。

 開始が1970年、最終回が2013年だから、なんと43年間かけて青少年期の16年間を描いたわけである。