そう考えると、(1)の特別委の専任プロセスに関しては、独立社外取締役3人の意見がどの程度反映されたのかは疑わしいところもある。

 3人のうち、豊田氏と井原氏は企業経営の専門家ではないし、ルノー出身のドゥザン氏は(ガバナンス問題を最小化したいという意味では)日産と利害が一致する“身内”だからだ。

東レと日産では経営統治法が違う

 付け加えれば、榊原氏が新生・日産の“顔”として経営統治を行なう適性があるかどうかという問題もあろう。榊原氏の出身母体である東レと日産とでは、経営統治のスタイルが全く異なるからだ。

 東レは、長らく社外取締役導入の義務化に反対の立場を取ってきたが、榊原氏の経団連会長就任を機に、導入を余儀なくされている。

アライアンスオペレーションボードのメンバー3月12日に創設が表明されたアライアンス オペレーション ボードのメンバー。ルノーから2人、日産自動車と三菱自動車から1人ずつの構成で落ち着いた Photo by Fusako Asashima

 また、東レは、現場に密着した経営判断と株主に対する経営責任完遂の両方を成立させるため、歴代経営者の強い意思から「執行役員制度」の導入を見合わせている。

 日産の企業統治は、「経営」と「執行」が完全に分離されてきた。経営を担う取締役会はゴーン氏が全権を握り、取締役会の機能は形骸化していたに等しい。日産には最高意思決定機関であるエグゼクティブ・コミッティ(EC)が存在し、強い執行権限と持っている。

 果たして、経営と執行が分離したガバナンスの経験値がない榊原氏は、本当に適任者なのだろうか。

疑われるルノーとのバーター取引?

 そして、日産関係者の間でまことしやかに囁かれているのが、「日産とルノーの“バーター取引”に榊原氏は巻き込まれたのではないか」という説である。