中国でも少子高齢化社会を迎えつつあり、日本と同様に、一人暮らしの高齢者をだます悪徳商法や詐欺が増えている。問題なのは、被害に遭う高齢者の多くが「だまされている」と薄々感じていても、ついつい相手のいうままに高額商品などを購入し続けてしまうことだ。中国の高齢者らの心情とは。(日中福祉プランニング代表 王 青)
絶望の果てに自殺した
中国の70代男性
「家族のお金まで突っ込んで、全財産を失ってしまった。迷惑かけて、すまん!」と1通の遺書を残して、70代の男性が海で自殺した。これは昨年末、中国の青島で起きた事件だ。
男性は、数年にわたり健康食品を買い続けたが、販売会社から約束されていたことが1つも果たされず、十数年コツコツため込んでいた貯金だけでなく、数年前亡くなった妻の貯金も含め、合計10万元(約160万円)を失い、絶望したのである。
先日閉幕した中国の人民代表大会の国内外の記者会見では、李克強首相が「中国はもう高齢社会に突入しているが、ニーズに追いつかず、選択肢が少ない」と認め、深刻な少子高齢化への危機感を明らかにした。
中国はいまだに高齢者定義が60歳以上とされている。最新の統計では、現在中国の60歳以上の高齢者人口は2.49億となり人口比17.9%に達している。2018年に、初めて高齢者の人口が0歳~14歳の人口を逆転した。また、2045年には高齢者人口が5億人になると予測されている。中国の高齢社会の特徴としては、「絶対数が大きい、スピードが速い、未富先老(豊かになる前に高齢社会に突入した)」と言えるのである。
実際、中国の高齢社会の特徴は、それだけでは終わらない。