檀上に立つティム・クックCEO
Photo:apple

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

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 アップルが披露した各種サービスは結局、同社の熱烈なファンの献身度を試すだけかもしれない。

 同社は25日に一連の新サービスを発表した。ニュースやモバイルゲームのサブスクリプション型サービス、「アップル」ブランドのクレジットカード、強化したテレビストリーミング「Apple TV+(アップルTVプラス)」などだ。大半は既に他のメディアやIT・金融企業が提供しているサービスのアップル版だが、そこには「iPhone(アイフォーン)」メーカーならではのブランドの輝きがある。

 今回のイベントは大きな注目を集めたが、アップルの顧客や投資家を本当に驚かせたサービスはなかった。新型デバイスの発表時と同様、今回も数週前からリークや臆測が乱れ飛んでいた。アップルの株価収益率(PER)は歴史的な高水準にあったが、各種サービス発表後に株価は1%超下落した。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)を発行するダウ・ジョーンズはアップルのサービスを通じてニュースを提供する契約を結んだ。

 今回のイベントは、サービス企業としてブランド再生を狙うアップルの意図をこれまで以上に端的に表したものだった。ただ、ティム・クック最高経営責任者(CEO)と並んで登壇したスティーブン・スピルバーグ氏やオプラ・ウィンフリー氏などスターの威光をもってしても、売上高の85%をデバイス販売で得ているアップルの現実に変わりはない。新しいサービス群は事実上、既存ユーザーからより多くの支出を引き出す手段に近い。

 それは、以前にはそれほど悪い賭けではなかった。例えば「Apple Music(アップルミュージック)」の音楽ストリーミング市場参入は比較的遅かったが、5000万人を超える有料会員を集めた。ただ、その成功の背景には、既に非常に多くの消費者が同社の製品やオンラインストアを使って楽曲を購入したり聞いたりしていたという事実があった。対照的にアップルTVプラスは、長らく同社の貢献なしに発展してきたテレビストリーミング市場が対象だ。アップルは今後、既に視聴習慣が定着し、競争が激化しているストリーミングサービス市場に入っていく。オプラは難しい仕事を抱えた。

(The Wall Street Journal/Dan Gallagher)