情報提供でわかった新事実
漫画家協会の声明は一部の意向だった
前回、この連載でダウンロード違法化について述べたところ、意外な反響がありました。日本漫画家協会の周辺の複数の異なる筋から、ダウンロード違法化に反対する協会の声明はすべての漫画家の総意ではない、という情報提供があったのです。
そこで、まずはどのような情報提供があったのかを記しておきます。ちなみに、複数の方からの情報提供の内容は基本的にほぼ同じであり、かつ私もそれらの情報の裏取りをしたので、信憑性は高いと思います。
提供された情報のエッセンスは、非常にシンプルです。ダウンロード違法化を定めた著作権法改正法案の国会提出先送りのきっかけとなった、ダウンロード規制に反対する日本漫画家協会の声明は、協会全体(漫画家全体)の総意ではなく、協会の理事長とごく一部の理事のみの意向で作成・公表されたのが、実情のようです。
協会の幹部の中にも声明の内容に賛同しない人がいるようですし、また、そもそも声明の内容や公表について、協会の一般会員である漫画家には事前に何も周知されていなかったようです。
それでは、なぜそのようなことが起きたのでしょうか。情報提供してくれた人たちが共通して指摘しているのは、日本漫画家協会が自らの意思として声明を出した(ダウンロード違法化に強硬に反対したかった)というより、背後にいる一部の学者と弁護士の強力な後押しが引き金になったのではないか、ということです。
なるほど、言われてみれば、漫画家協会の声明はわずか数行だけで、その内容も、これまでダウンロード違法化に反対してきた学者の主張をほぼ丸写ししただけのような感じになっています。
つまり、それら一部の学者と弁護士がダウンロード違法化に反対する自らの主張を押し通すために、漫画家が利用されてしまった面があるのかもしれないのです。違法ダウンロード被害の当事者であるはずの漫画家も違法化に反対しているという構図は、法案潰しには格好の材料になるからです。