また、インドは長期にわたって社会主義に基づいた計画経済体制が採られてきたため、供給サイドの生産に関する経済統計は詳細な一方、インドの小売業者の大半はキラナと呼ばれる中小・零細業者が占め、その多くが売り上げの申告逃れを行ってきたとされ、家計消費の動向を知ることは難しく、消費動向に関する統計は未だ整備されていない。こうしたことから、GDP統計が改訂された当初、インド準備銀行(中銀)も景気見通しの作成に需要サイドのGDPを用いず、供給サイドで試算されたGVA(総付加価値)成長率を用いるなどの動きもみられた。

GDP改訂で前政権の成長率下がりモディ政権の成長率上がる

 ただ、その後は当局(統計・計画実施省)において推計の錬度が高まったことなどもあり、準備銀行もGDPを景気見通しに用いるようになるなど、GDP統計に対する信認が向上するかにみられた。ただし、昨年末に突如政府はシン前政権下の2004-05年度以降の過去7年度分のGDP統計を新基準に準拠する形で遡及的に改訂し、結果的にすべての年度で成長率が下方修正されることとなった。

 さらに、2月末にはモディ政権下の2015-16年度以降の3年度分のGDP統計が遡及的に改訂された。2016-17年度及び2017-18年度を巡っては、モディ政権が2016年末に実施した高額紙幣廃止措置、そして2017年7月に導入されたGST(財・サービス税)に伴い幅広く経済活動に混乱が生じたとして、当初は景気が大きく減速したとみられてきた。

 しかし、改訂により経済成長率が上方修正された結果、これらのイベントによる景気への影響は「ほぼなかった」と評価される一方、企業マインド統計では2016年末から翌17年にかけて急速に悪化するなど、成長率の動きとまったくリンクしておらず、GDP統計の信ぴょう性に改めて疑義を生じさせている。